統合失調症は精神が崩壊する病気ではない
2014/08/23更新
統合失調症は以前、精神分裂病という名前でした。しかし、実際は精神が分裂するわけでも崩壊するわけでもありません。統合失調症は治療すれば多くの人が治る病気です。
統合失調症の特徴的な症状は200年近く前から知られていましたが、1911年にスイス人医師のブロイラーが”考えをまとめる場所である精神が分裂している状態”という意味で、schizophrenia(スキゾフレニア)と名づけました。schizoが分裂で、phreniaが精神病という意味です。直訳して日本では”精神分裂病”と呼ぶようになりました。ブロイラーが使った分裂という言葉は、統合機能の緩みという意味合いで、日本語の分裂の意味とは違っていました。
日本では、精神分裂病という言葉によって大きな誤解が生まれました。精神が分裂して崩壊する病気だと思われてしまいました。統合失調症は精神が分裂して多重人格になる病気ではありませんし、必ずしも人格が崩壊する病気でもありません。さらには、1950年代までは有効な治療方法がなかったため、精神分裂病は発症したら隔離するしかない不治の病だというイメージも着いてしまいました。
このような間違った印象を払拭するために、2002年、日本精神神経学会は「統合失調症」と名前を改めました。
統合失調症の症状を正しく知り、治療方法が確立されていて、多くの人が治る病気だということを認識することも大切です。
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