抗精神病薬の効果

抗精神病薬の効果

2013/07/13更新

 統合失調症の薬物治療において、抗精神病薬はかかせないものです。
 抗精神病薬をきちんと服用すれば、急性期の妄想幻覚といった症状はまず収まります。例えば、盗聴されている、監視されているといった被害妄想や「ビルから飛び降りろ」などといった幻聴が消えていきます。

 

抗精神病薬とは

 統合失調症の患者は、脳内神経伝達物質のドーパミンが過剰になり、脳のフィルター機能がうまく働かなくなって、不要な情報が次々と入ってくるようになります。それが幻覚や妄想といった症状を発症させる原因となっています。
 抗精神病薬は、ドーパミンに作用し、脳のフィルター機能の不調を治し、外部から余計な情報が入るのを防ぐ効果があります。
 脳に働く薬というと、危険に思うかもしれませんが、普通の風邪薬や痛み止め、車酔いの薬でも一部は脳に作用するものです。コーヒーやアルコールでさえ脳に作用します。しかも、抗精神病薬は、専門的に研究され、安全性が認可されたものですから、過剰な心配は無用です。

 

抗精神病薬の2つのタイプ

 抗精神病薬は、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬に分類されます。
 定型は、主に妄想、幻覚、興奮といった陽性症状に効果があります。
 一方、非定型は新しいタイプの抗精神病薬で、副作用が少なく、陽性症状だけでなく、陰性症状への効果も期待されています。

 

抗精神病薬の作用
  • 幻覚や妄想を直接的に消す抗幻覚妄想作用
  • 脳のフィルター機能が改善され、幻聴や不安感が軽減されます。
  • 興奮状態を抑えます。
  • 神経細胞の機能を回復させます。
  • 飲み続けることにより、再発を防ぐことができます。逆に飲まないと再発するリスクが高くなります。
  • ある程度ですが、意欲を出す作用もあります。

 

処方された飲み方を守る

 抗精神病薬にはたくさんの種類があり、薬によって効き方がまったく違います。また、同じ薬でも人によって効果が違ってきます。少ない量で効果が現れる人もいれば、多い量を飲んで初めて効果が現れる人もいます。
 したがって、量を自己調整したりすると、効果が出ないだけでなく、副作用を引き起こしてしまうこともあります。医師の処方を守って服用しましょう。

 

早期治療が効果を高める

 統合失調症が発症した後、早期に薬物治療を始められると、その効果は高くなります。遅れるほど効果は弱くなります。

 

幻覚妄想が治まっても完治したわけではない

 抗精神病薬が効果を発揮して、ほぼ幻覚妄想が消えたとしても、完全に治ったわけではありません。薬によって、一時的に症状を抑えているに過ぎません。統合失調症では、急激に症状が悪化することも少なくありません。自分勝手に服薬を中止したりすると、再発して日常生活に支障をきたす大きな障害がおこりやすくなります。薬をやめる前に、薬の量を調整できないか、積極的に主治医に相談しましょう。

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