ドーパミンの過剰分泌-統合失調症の危険因子

ドーパミンの過剰分泌

2013/07/10更新

 脳内には情報をやり取りするために、神経伝達物質が分泌されています。神経伝達物質のなかのドーパミンが、統合失調症の発病に関係があるとされています。

 

 脳には、必要な情報だけを取り入れる”フィルター”が存在します。ところが、ドーパミンが神経経路の一つである中脳辺縁系で過剰になると、このフィルターの働きが弱くなります。すると、大量の情報が流れ込んで、それが妄想や幻覚、不眠といった統合失調症の症状に繋がると考えられています。

 

 しかし、このドーパミン説は、陽性症状にはあてはまるものの、陰性症状にはあてはまりません。

 

 ドーパミンが中脳辺縁系で過剰になると、陽性症状を引き起こしやすくしますが、その一方で中濃皮質系のドーパミンは機能低下が見られることがわかっています。それにより、意欲の低下や自閉傾向などの陰性症状が現れるといわれています。

 

 つまり、

  • 中脳辺縁系でのドーパミン過剰→陽性症状
  • (中脳辺縁系でのドーパミン過剰により)中濃皮質系でのドーパミン機能低下→陰性症状

 と考えられています。統合失調症ではまず陽性症状が現れ、その後で陰性症状が長期につれて現れるという傾向がみられます。

 

 ドーパミンではなくグルタミン酸という神経伝達物質が統合失調症と関係しているという説もあります。しかし、神経伝達物質はそれぞれの働きが絡み合っているため複雑で何が引き金になっているのかわかりにくいという面があります。そのため、なぜその物質が影響しているのか理由を説明するのが難しく、神経伝達物質と統合失調症の関係は、まだ解明途中であるといえます。

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