統合失調症の受診の説得

受診の説得

2013/07/10更新

 統合失調症の疑いがある場合は、本人を医療機関で受診させる必要があります。しかし、統合失調症の疑いのある人が医療機関に行きたがらないというケースもあります。本人に病気であるという自覚がないのです。そんな時、どのように説得すればよいでしょうか。そのポイントを紹介します。

 

心がけたいこと

本人に気持ちを聞く

 統合失調症の本人は病気という自覚はありません。幻聴や妄想は、本人にとっては本当に感じていることなのです。ですが、何かしらよく分からない不安を感じているのです。
 「いま何か気にかかることない?」などと問いかけて、本人に今感じている気持ちを話させるとよいでしょう。そして、その時本人の感じた、驚きや不安、恐怖、孤独感を共感するとよいでしょう。
 それでも、うまく聞き出せないときは、より具体的に、「眠れないんじゃない?」「何か恐く思ってることはない?」などと聞いてみましょう。

 

家族の気持ちを伝える

 本人に起こっている症状に対して、「心配している」「よくなってほしい」という気持ちを伝えます。優しい話し方で伝えましょう。

 

治療すると症状が楽になることを伝える

 治療すると症状が楽になるということを、本人に伝えましょう。「病院に行ってほしい」「治療すると楽になる」と本人に優しく諭しましょう。幻聴や妄想についてではなく、不眠や不安やイライラなど、それによって本人が生活上困っていることに焦点を当てて勧めるとよいでしょう。将来について迷ってるようだから相談しに行こうというニュアンスで伝えてもよいでしょう。

 

 また、「統合失調症」や「精神疾患」など、精神の病気を匂わすような言葉は出さないようにしましょう。本人は精神疾患かもしれないことを恐れていることが多いからです。
 薬に対して悪いイメージを持っているかもしれません。その時は、治療に適した薬は安全で、もし心配ならその都度医師に相談できるということを話しておきましょう。

 

 それでも受診を拒絶するようなら、家族だけでもよいので地域の保健所や精神保健福祉センターに相談してみましょう。

 

避けたいこと

感情的になる

 焦ったり苛立ったりしないようにしましょう。「病院に行け!」などと頭ごなしに命令しては、余計に受診したくなくなります。

 

不安をあおる

 腫れ物に触るような扱いをしたり、あいまいな不明瞭な話し方をすると、本人は余計に不安になります。率直に、そして優しく話しましょう。

 

脅す

 「このまま病院に行かないと、もっと酷くなる」などと脅すような話し方をすると、本人の恐怖心を大きくするだけです。逆効果になりかねません。

 

嘘をつく

 「内科に行くんだよ」「健康診断だよ」といって嘘をついて医療機関に連れて行くのはやめましょう。大抵の場合、本人にばれます。
 そして、家族への信頼はなくなり、治療に対しても不信感を抱くようになります。
 「精神科」は「あなたに必要な科」といった言い方ができます。

統合失調症の受診の説得関連ページ

統合失調症のチェック
統合失調症のチェックをしましょう。これは統合失調症の可能性があるかを判定するものです。
統合失調症の前兆
統合失調症の前兆があります。本人がなんとなく感じる変化。それを気づくのは家族など周りの人です。
統合失調症を診断してくれる病院選びのポイント
統合失調症を診断してくれる病院選びのポイントを紹介します。
統合失調症の問診
統合失調症の問診や初診で心がけたいことを紹介します。
統合失調症の診断基準
ICD-10による統合失調症の診断基準を紹介します。
統合失調症とうつ病の違い
統合失調症とうつ病は、明らかに違う病気です。しかし、本人や家族には区別ができないことが少なくありません。
病識をもたせるには
統合失調症の診断や治療には、患者に病識を持たせることがとても大切です。
統合失調症とその他の疾患との識別
統合失調症とその他の似ている症状を持つ疾患との識別について紹介します。
セカンドオピニオン
通院を続けていくなかで疑問を感じた場合は、セカンドオピニオンという手段もとれます。